韓国珍島沖で、今年の4月に起きた旅客船セウォル号沈没事故で、船長のイ・ジュンソクに死刑の求刑を行った。
また、その他の運行担当乗務員14人に、無期懲役などの求刑を行った。
韓国の検察は押収した資料の分析や事故当時のシミュレーションの結果などから、セウォル号は増改築や過積載で、船体が傾いたときの復元力が著しく低下し、その上急旋回したため、死者294名、行方不明者10名を出す大事故につながったとしている。
最も罪の重いイ・ジュンソク船長については、過積載について点検せず船の通行量が多い事故海域で、経験の浅い3等航海士に操縦を任せるなど、監督責任を怠ったというものである。
さらに、船長は乗客を救助する法的義務や責任があるにも関わらず、乗客に待機を命じる放送をした後、何の処置もとらずに自分だけ救助されたものであり、不作為による殺人罪が成立するとして、死刑を求刑した。
イ被告は、操作の段階では待避指示を出さなかったと認めたが、公判では一転して「航海士に指示を出した」と起訴事実を否認した。
これに対し、この日の公判で検察は「指示を受けていない」といった複数の乗務員の証言を示し、イ被告の話には信憑性が無いと結論づけた。
また、未必の故意に関しては、乗客が待機していることを知りながら、現場に駆けつけたタンカーからの支援申し出や、管制センターが乗客を脱出させるよう繰り返し無線で呼びかけたことを無視したことを指摘、「乗客が死んでも良いとの内心が確認できる」と結論づけた。
イ被告はこの日の意見陳述で、「事故当時は混乱し、まともな精神状況ではなかった」と述べ、「しっかりした措置がとれず、多くの方が犠牲になり、死に値する罪を犯した、だが、殺人の故意はなかった」と述べた。
検察はイ被告のほか、殺人罪に問われた1等航海士や機関長ら3人に無期懲役、その他の11人に懲役30~15年を求刑した。