難病に負けない!血液の病気 「血友病」

血友病

難病に負けない!血液の病気 「血友病」

ケガをしたとき
小さなキズなら直ぐに出血は止まります。

でももし血が固まらなかったとしたらどうなる?

難病に負けない!血液の病気 「血友病」

今までは治療のためには週に2~3回
注射を打ち続けないといけなかったのですが

新しい薬の登場で
月に1回の治療で済むようになってきました。

奈良県立医科大学 副学長
  嶋 緑倫

血友病の患者は国内に約6500人くらいで
一般には1万に1人と言われるので
実際にはもっと多いと考えられています。

出血が止まらない。

血管が破れて出血すると
傷口に血小板が集まって来ます。

このように血小板が傷口にくっついて
固まるのが1次止血です。

その他血液の中には血液凝固因子がありまして
それぞれが作用して『ヒブリン』といって
網のような物質を作り血小板の塊を覆います。

これが2次止血です。


血友病はこの2次止血に関する
12種類の因子のうちある因子が
不足しているためフィブリンが
作られないため血が止まりにくくなります。

その不足している因子の
第8因子が不足しているのが血友病A
第9因子が不足しているのが血友病B
血友病Aの患者数は血友病Bの5倍



血友病の原因は血液凝固因子を作る遺伝子の異常で
遺伝します。

先天性、先天的なもので遺伝します。

第8因子や第9因子の不足異常は
異常のある遺伝子を持つ男性は
血友病を発症します。

女性は殆ど発症しないが
血友病の素因を次の世代に受け継具事になります。

血友病の症状としては出血しやすく
出血が止まらない。


1番多いのが皮下出血で
青アザができる。

採血の後にも出血が見られます。

血友病の症状には関節内に出血する
関節出血があります。


関節内出血は腫れるだけではなく
非常に痛いことあります。

進行すると軟骨や骨を破壊され
日常生活に重大な支障をきたすことになります。

出血で生命の危険があるようなことがあるのでしょうか。
それは、頭蓋内出血があります。

血友病で亡くなる人の殆どが頭蓋内出血です。

それと、首の出血で気道を圧迫されて窒息をおこすことがあり
非常に危険な出血です。
また、腹部からの出血で内臓から出血することも
あります。
大量に出血すると非常に危険となります。

危険な出血が疑われる場合は
直ちに医療機関で受診をすることです。

この血友病は遺伝だけではなく
毎年100~200名が後天性血友病に
なっています。

老化やガン、膠原病などがきっかけで
自分の第8因子を免疫が異物と認識して
攻撃するのです。

そのため第8因子が不足して出血を起こす
ことになります。

後天性血友病は男性も女性も発症します。

症状は先天性と後天性血友病で違うのでしょうか。
違いますね。

先天性血友病の場合は関節内出血が多いが
後天性血友病は大きなアザが特徴です。

転んだだけで大きなアザが出来てしまっています。

突然大きな紫斑(アザ)が出来た場合は
大きな病院に行って診てもらうことですね。

血友病の治療とは
早期の止血、出血の予防となります。

早期の止血とは
欠乏している凝固因子の製剤を注射してもらう。

危険な出血がある場合は緊急に処置する必要があります。

出血の予防とは
定期的に凝固因子製剤の注射を
週に1回~3回または隔日に行う

毎日病院では無理ですから
自宅での注射が認められています。

病院で自己注射の練習・指導を行っています。
子供の場合は両親が注射することが多い。

皮下注射と違って静脈注射は難しいですね。
血管の中に正確に針を入れないと失敗するので
難しいですね。

治療は一生涯続きますし
遺伝しますから母親の苦労も大変ですね。

定期補充療法の普及で出血は減りましたが
ゼロにするのは難しいですね。

成人以降
殆どの患者が血友病関節炎を起こします。

進行すると人工関節などの手術、装具
車椅子などが必要になる場合もあります。

この血友病で問題になっているのが
『インヒビター』です。

製剤に含まれる血液凝固因子を異物として
攻撃する抗体が出来てしまいます。

インヒビターが発生すると製剤の効果が
なくなり治療が非常に難しくなります。

ということから
血友病の治療は非常に難しい。

最新治療法のエミシズマブとは

2018年に血友病Aの治療薬として
承認され保険適用となりました。

どんな薬かと言いますと
エミシズマブは2本の手を持っています。

普通の抗体は2本の手に同じものしか持てませんが
このエミシズマブは
遺伝子の組み換えによって違うものを持てる
性質があります。

血液凝固因子のそれぞれの⑨と⑩に
結合します。

そのするとエミシズマブは不足している
第8因子と同じ働きをするのです。

その結果、第8因子が無くても
凝固反応が進んで
血液を止める働きのフィブリンが
形成されるのです。


こうしてフィブリンが出血を止めるように
なるのです。

これは凄い仕組みなんですね。

このエミシズマブによってどのように
これから治療が変わるのでしょうか。

このエミシズマブは静脈注射ではなく
皮下注射で良いので失敗が殆ど無くなりました。

小さい子供でも皮下注射なので簡単に
打つことが出来るようになりました。

また、血液の中で長持ちするので
1~4週間に1回の投与で出血を予防出来る
ようになりました。

これで
長期の旅行や長期の出張も
行きやすくなりました。

また
既にインヒビターの有る人にも
使用可能です。

副作用の話ですが
エミシズマブの副作用としては

注射部位の腫れ
じんましんなど

打った箇所が赤くなったり
腫れたりする軽い報告が有るだけです。

まあー軽い副作用が少し有るだけです。

注意すべき事は
インヒビターの保有者が

バイパス製剤を使うと
血栓症になることがあります。

しかしながらこのエミシズマブは
血友病Bには効かないのが残念です。

第9因子の不足の血友病Bには
エミシズマブは効きません。

エミシズマブは第8因子が不足している
血友病の患者のみに有効です。

しかし
血友病Bも含めて色々な治療法が開発が
進んでいますからまだ臨床段階ですが

将来はそういった製剤が使えるように
なります。

「特発性血小板減少性紫斑病」についてはこちら

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