男性の更年期障害
男性の更年期障害、放っておくと命に関わる?その理由とは?
女性の更年期障害は昔からよく言われますが、男性にも更年期障害があることは近頃言われています。
ところが、男性の場合だと重病との関連も指摘され、「放っておくと命に関わる」と警告する医師もいるとのことです。
男性の更年期障害は、ED(勃起障害)と留まらず。男性更年期障害の重大なリスクとは?
男性の更年期障害は、血中の男性ホルモンである、テストステロンが8.5pg/ml未満まで減った状態で、心身共に様々な不調が表れるLHO症候群です。
LHO症候群とは、加齢男性性腺機能低下症候群といわれ、国内患者数250万人、潜在患者数600万人ともいわれています。
■若くても発症、男性の更年期障害
加齢だけでなく、ストレスも大きな原因に
男性ホルモンであるテストステロンは、精巣(睾丸)で作られるが、加齢とともに徐々に減少し、加齢以外のストレスででも減少することが分かっています。
私達が、強いストレスを感じると、脳にある視床下部から、刺激ホルモンが出て、精巣でのテストステロンの生産を低下させます。
また、不規則な生活や過度の飲酒、喫煙もテストステロン分泌量を減らすことになります。
不規則な生活や睡眠不足、過度な飲酒や喫煙もテストステロンを減少させる要因となります。
今の現代社会では、60歳以上の年齢よりも、40歳~50歳代の人達の方が、その分泌量が少ないとも言われています。
発症年代は30代後半から80歳以上と幅広い
テストステロンは20歳代をピークに緩やかに減少を続けるが、60歳以上の2割、80歳以上の半数、20歳代の平均の半分以下に、減少速度は個人差が大きいため、発症する年代は30歳代後半から80歳以上までと幅が広い。
男性の更年期障害の場合は、女性の更年期障害のようには回復はしないのです。
女性の場合は、閉経後に女性ホルモンの分泌量低下により更年期障害を発症しますが、一定の時期を経過して再び男性ホルモンの働きが強くなると回復する。
しかしその一方で、男性の場合は自然回復はしません。
放置しても自然な回復は望めません。
症状は多様にわたり、心身にダメージが残り、性欲の低下や勃起障害(ED)、抑鬱感や落胆、不安、疲労感、記憶力や集中力の障害などがでてきます。
また、身体的では、発汗やほてり、睡眠障害、関節、筋肉関連の症状などです。
テストステロンとは、社会的ホルモンと呼ばれ、男性ホルモンの95%が精巣で作られる。
女性も男性に比べれば少ないが、卵巣や副腎などで作られる。
テストステロンは、社会に自分を押し出すホルモンといわれ、定年を迎え社会に居場所を失うことで、更年期障害になってしまう男性も多いと言われています。
■テストステロンの値が低くなると、こんな危険も
それは、テストステロン値が低い人は、太りやすく糖尿病にもなりやすくなります。
アメリカの研究でも、太った男性のテストステロンの値は低く、BMIの増加に応じてテストステロンの値が下がることが分かってきました。
メタボや糖尿病の発症リスクを高めることにもなります。
順天堂大の辻村教授の研究では、30歳~63歳の日本人男性を調査した結果、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常というメタボ因子が増えるほど、きれいにテストステロンの値が低くなることをつきとめました。
値が低くなればなるほどメタボの発症リスクがあがることも確認しました。
メタボが進むと動脈硬化に、EDの要因になるケースもあります。
テストステロン値が低下することで発症リスクが高まるメタボは、動脈硬化を加速させます。
辻村教授は、その動脈硬化がEDの一因になることも指摘し、心血管疾患を発症した男性患者のほとんどが、約3年前にEDを自覚したと報告を受けているようです。
テストステロンが低下することで、うつ病や睡眠障害を悪化させることになります。
これは、テストステロン値が低下するとうつ病を引き起こし、やる気が出ず、人間関係も煩わしくなり、抑うつ状態や不安は自律神経症状も誘発、寝付きの悪さや朝早く目覚めるといった不眠症を併発する可能性も高くなる。
また、テストステロン値の減少により、認知症の発症時期を早めることになったり、認知症の発症リスクが高まることになります。
反対に、テストステロンの値の低い認知症の男性患者に、一定期間テストステロンを投与することで、認知症が改善することが確認されています。
テストステロンが減ると、筋肉も減り骨折もしやすくなる。
加齢と伴に筋肉量が減るのは、テストステロンの減少で生じるもので、テストステロンが減少すると骨密度も低下するため骨折のリスクも高まります。
狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患を患った男性の67%は、発症の平均3年9ヶ月前にEDを自覚していたとの調査結果があり、心血管疾患の男性患者ほぼ全員が2~3年前からEDだったと言う報告があります。
テストステロン値を基準値に戻す治療法とは、注射または皮膚に塗るホルモン補充療法があります。
適応は40歳以上で、男性の更年期障害の症状があり、血中の遊離テストステロンが基準値より低い患者で、2~3週間ごとに筋肉注射を行い、テストステロンや性腺刺激ホルモンを補う方法と、軟膏を1日に数回陰嚢の裏に塗る方法があります。
ただし補充治療法の場合は、精子が作られにくいなどの副作用があります。
カウンセリングによる対処方法もありますが、これは、例えば、親の介護、子供の反抗期、妻との関係、会社のストレスなどで、その世代特有の悩みからうつ病になった患者もいますから、心療内科や男性更年期外来では、治療の一環として希望者にカウンセリングを行っています。
テストステロン値は泌尿器科「メンズヘルス外来」がある病院で血液検査により測定が可能です。
補充療法は、一般には健康保険が利きませんが、注射1回が2,000円~5,000円程度となっています。
もっとも手軽で分かりやすいバロメーターは「朝立ち」です。
正常な朝立ちは、良質な睡眠、十分なテストステロンの量、過度なストレスがない、動脈硬化が進んでいないと言った好条件が揃っていることが必要で、年齢にもよりますが、40代で1週間朝立ちがなければ問題なのです。
世界基準の自己チェック表「AMS質問票」も有効
テストステロン値が気になる人は、更年期障害の診断で使われている「AMS質問票」で自己チェックしてみて下さい。
AMS質問票
合計点が26点以下だと正常で、27点~36点は軽度更年期障害、37~49点なら中程度更年期障害、50点以上は要注意とされていて、50点を超えている人は、泌尿器科に相談されることをお勧めします。
身近な努力や生活で、テストステロン値を回復またはキープする方法がありますが、チョットした些細なことでも変動する分泌量でスポーツ観戦でも変動します。
例えば、熱心なプロ野球ファンの場合、応援しているチームが勝つと、テストステロン値が上がり、負けると下がると言われています。
テストステロンの値を高く保つ生活とは、
①睡眠をしっかりととることで疲労とストレスを解消し、テストステロン値が高くなります。
②タンパク質をしっかりと摂ること。玉ねぎやニンニクなどの抗酸化作用の強い食品がおすすめです。
③運動で筋肉に刺激を与えると、テストステロンの値が高くなることが確認されています。
④友達に会うことでストレスが解消され、テストステロンの値が高くなります。
⑤仕事と全く関係のない習い事などは、気分転換に持ってこいで、ワクワク感が強いほどテストステロン値も高くなります。
更年期を迎える女性には、やっぱり皇潤極めつきかなー。健康第一ですからね。