もし、あなたが高血圧症で、下記の値に近いなら、原発性アルドステロン症の可能性があるので、一度検査を受けて見ることをお勧めします。
・薬を飲まないで、上の血圧が160mmHg以上、または下の血圧が100mmHg以上
・薬を飲んでも上の血圧が130mmHg以上、または下の血圧が85mmHg以上
・血中のカリウム値が低い(3.5~4mEq/Lを下回る場合)
原発性アルドステロン症とは、副腎皮質に腫瘍が出来ており、副腎そのものが大きく腫れていて、アルドステロンの分泌が過剰になり、血圧が上がる病気なのです。
その腫瘍そのものは良性なので転移することもなく心配はいりませんが、血圧の上昇を招くことの原因となります。
それは、アルドステロンが腎臓に作用し、身体の中にナトリウムと水分を蓄えるために、高血圧となるのです。
症状としては、血液中のカリウムが低下しますので、脱力感、筋力低下によるこむら返り、水分を多く取り過ぎのための夜間頻尿などが起こることがあります。
最高血圧も最低血圧もともに上昇しますが、特に最低血圧が上昇するのが特徴で、100を超えることが多いとされています。
この病気のリスクで考えられるのは、高血圧症の臓器障害に加えて、ホルモン自体の影響による心血管系の合併症の頻度が少なからず考えられます。
脳血管障害である脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性心疾患、大動脈瘤、心不全、腎不全などの病気を引き起こす引き金となる可能性が高くなります。
そのことから、早期発見、早期治療が望まれます。
以前は、この病気は希な病気の一つだと考えられていましたが、最近では検査法の進歩により、高血圧症の患者さんの5~10%がこの病気たと言われています。
この病気は、年代に関係無く、若い人から高齢者まで性差なく見られます。
特に、血圧の上が160mmHg以上、下が100mmHg以上で、低カリウム血症の方、副腎腫瘍を持っている方、40歳未満で脳卒中を起こした方、治療抵抗性高血圧では、この病気の可能性が高いと思われます。
このような症状や疑いがあると見られる患者さんは、内分泌科および代謝を専門とする病院への受診が必要です。
専門医を受診すると、採血を行い血液中のアルドステロンが高くないか、または他のホルモン濃度との比較を行い、相対的に高くなっていないかを調べることから始まります。
診断を確実するためには、更に副腎のシンチグラフィ、CTスキャンやMRIなどの画像診断を行い、副腎静脈血中のアルドステロン値を測定します。
これにより、副腎の腫瘍や過形成の状態が分かるのです。